アスタキサンチンという名前はあまり聞きませんが、
ヒトの体内では合成できない、とても抗酸化力の強い成分なのです。
サケやイクラ、カニ、エビ、真鯛などに多く含まれています。
カニやエビに含まれるアスタキサンチンは、
生きているときはタンパク質と結びついていて、くすんだ色をしていますが、
加熱すると、タンパク質と分離して、鮮やかな赤色に変わります。
油に溶けやすい性質があるので、
ビタミンAやビタミンDのように、体内蓄積が気になりますが、
アスタキサンチンは、摂取後およそ8時間で血中濃度が最大になり、
72時間後ほどで消失してしまいますので、体内蓄積は起こりません。
この性質は、安全性が高いと言えるでしょう。
ヘマトコッカス藻という微細藻は、自分の体内でアスタキサンチンをつくることができます。
ヘマトコッカス藻は、淡水で育ち、葉緑体をもち、光合成をします。
温度や光、栄養や乾燥などの環境が適さないように変化すると、
生き残るために、細胞に胞子を作り、休眠状態に入ります。
大きな球状体に成長して、アスタキサンチンを合成して蓄積します。
こういった性質を利用して、アスタキサンチンを大量に培養できるようになりました。
アスタキサンチンの効果
アスタキサンチンは、栄養が届きにくい細部まで入り込むことができるので、
目の奥の方まで届くことができ、眼精疲労の改善が期待できます。
眼精疲労症状の健常者にアスタキサンチン6mgを4週間投与したところ、
調節機能の改善と自覚症状の改善が確認されています。
目の虹彩、毛様体、網膜、脈絡膜に炎症を起こすぶどう膜という疾患にも、
アスタキサンチンの炎症抑制効果が確認されています。
目の黄斑部が加齢などによって変性して、歪みや視野狭窄が起こり、
放置すると失明につながる加齢黄斑変性症にも有効です。
緑内障の予防にも効果があると言われます。
アスタキサンチンは、体内に過剰に発生した活性酸素を抑制する、
強力な抗酸化作用があるので、
美白、美肌、視力回復の効果も期待されます。
さらに、免疫力を高めたり、アンチエイジングや動脈硬化の予防、
血流改善など、いろいろな力を備えているのです。
肝臓への脂肪沈着を防いで、肝硬変につながる炎症を抑制してくれます。
筋細胞内の脂質を分解するのに必要なタンパク質の働きを促進させるので、
メタポリックシンドローム予防や、改善のための運動療法にも有効です。
栄養が届きにくい細部まで入り込むことができるのと、
強力な抗酸化作用を備えるアスタキサンチンは、
さまざまな効果を発揮してくれるのです。